人・夢・技術 株式会社長大
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お知らせ

量子コンピュータを活用したデータセンターの運用コスト削減に関する特許を取得しました

データセンター運用コスト削減量子コンピュータ

2025年06月20日

株式会社長大は、量子コンピュータによる「データセンター施設等の運用コスト最適化」に関する特許を取得しました。

この特許は、機器類の消耗度も含めた運用コストの削減を目的として、一般的にデータセンター等で部屋単位で行っている冷却機器の制御を個別に行うようにして、カーボンニュートラルにも貢献する技術です。
熱源の温度、故障確率、電力価格、負荷予想など時々刻々変わる状況に応じて、量子コンピュータを用いて短時間で最適な制御に導きます。
デジタル社会の進展に伴い増加するデータセンターなどの運用コストの削減とともに、不要な電力消費も抑制。省エネルギーやCO2排出量の削減に大きく寄与します。


■特許概要
 ▷発明の名称 施設の運用コストを最適化するための最適化システム、最適化装置、最適化方法、およびプログラム
 ▷特許番号  特許第7686899号
 ▷登録日   令和7年5月23日



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AIデータセンターにおける特許技術の適用イメージ(概念図)


近年、情報を集中処理するデータセンターが多く建設される一方、機器を冷却するために使われる電力量の増加は無視することのできない運用コストになっています。
特に機械学習や生成AIに特化したデータセンターは「AIデータセンター」と呼ばれ、高性能な計算処理をするためのGPU(Graphics Processing Unit)という機器を多く使用しており、これらの計算処理だけではなく、冷却にも大量の電力が必要となっています。
これはGPUに負荷がかかると大量の熱を発し、機器を一定温度以下に保たないとパフォーマンスの低下や故障の原因になるためです。GPUが非常に高価であることと近年の電力価格の高騰もあって、より少ない電力での効率的な冷却が求められています。

このGPUの冷却は、AI技術の進展に伴い関心が高いテーマとなりつつあり、冷却に使用する電力を抑えながら機器のパフォーマンスを維持するための水冷方式など、さまざまな提案が各社からなされています。

最適に制御を行うためには多くの条件(個々の機器の現在温度、温度毎の故障確率、電力価格、負荷予想)を考慮しなければなりません。当社ではこのように考慮すべき条件や項目が多い課題の解決を図る上で、量子コンピュータによる計算の有効性に着目し、調査、研究を行ってまいりました。この特許は、これらの課題を解決するための仕組みを具体的なアルゴリズムとして示したものに他なりません。

当社は2020年に取得した「量子コンピュータによる配電網制御最適化」に関する特許の取得以降、継続して量子技術を活用した社会課題の解決に取り組んでいますが、この特許取得もその一環であり、引き続き実用化、製品化に取り組んでいく考えです。

今後は、データセンター事業者や空調設備会社などと連携し、この特許技術の実用化に向けた研究および製品開発を進めていきます。そして、日本国内だけにとどまらず、世界中での広範な普及を目指すことで、持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えています。


■本件に関する問い合わせ
株式会社長大 事業戦略推進統轄部 クオンタム推進部(担当:平井)
メール: hirai-mas@chodai.co.jp
電話 : 03-3532-8612


■量子コンピュータに関する取り組み
長大「クオンタムシティ構想」
●2020年9月 将来の効率的な電力マネジメントに向けて、量子コンピュータを活用した最適配電網作成に関する特許を取得しました